展覧会をすると何人かには必ず聞かれるので、どんなカメラでどのように撮影をするか今のうちに書いておうこうかと思います。撮影をする対象に適切なカメラであれば良いと思っているので、大判カメラを必ずしも推奨するわけではありません。これから大判カメラ(4×5も8x10も基本は同じです)を始める方が今時いるかどうかわかりませんが参考になればと。単純な仕組みのカメラですのでカメラという機械を理解するのに良いかもしれません。
- 機材
- 暗室でフィルムを詰める
- 撮影
- 現像だし
1.必要な機材



- カメラとレンズ
カメラは折りたたんで運べるフィールドタイプのTOYO FIELD 45A Ⅱ Lを使用しています。蛇腹は前半分が袋蛇腹で後半分が普通の蛇腹になっているものに替えてあります。広角レンズを使わなければ普通の蛇腹で問題ありません。カメラ自体はただの黒い筒です。レンズボード(レンズの間に挟んである金属の板の規格)は一般的なリンホフボードで揃えています。この他トヨボードやホースマンボードなどあり互換性はありません。購入の際はカメラのレンズの規格があっているか確認してください。レンズボードは自分で簡単に交換できます。特別な理由がない限りリンホフボードが良いと思います。

- ルーペ
ピントを合わせるのに必要。通常4倍か8倍のルーペを使います。あまり倍率が高くてもフォーカススクリーンの目が見えてしまうので、これぐらいが使いやすいと思います。
- 30秒計
一周30秒で回るストップウォッチ。使い方としてはバルブでシャッターを切るときに必要になります。例えば2秒,2.5秒,3.2秒,4秒と1/3ステップで撮影するのに60秒計だと難しいです。長時間露光しなければ特に使いません。
- レリーズ
これはすべて共通なので気に入ったものを選べばよいと思います。私は外で落とした時見つかりにくいので黒ではなく黄色のものを使っています。
- 露出計
カメラに露出計がないので必要です。入射光と反射光両方使える方が外で撮影するには便利です。
- 三脚
三脚は風さえ気をつければミラーショックもないので1眼レフなどに使っているもので問題ありません。
2,フィルムを詰める。
これからの作業はすべて暗室、もしくはダークバックの中で行ってください。明るいところでは感光します。
フィルムには裏表が有ります。右下に切り欠き(ノッチコード)をおいた時上が表です。切り欠きはフィルムの種類によって形が違います。暗室内では常にこの向きでフィルムは扱います。
引き蓋の裏表を確認します。一般的には白が未撮影で黒が撮影済みですが、私は前の職場で黒が未撮影だったので今だに黒にしてからフィルムを詰めます。ホコリがあるとネガの場合黒い線として出てくるのでブロアーでホコリがないようにします。
フィルムはこんな具合に乳剤面を触らないように持ちます。達人達は親指と人差し指だけで持ちます。難しければ白手袋を使ってくだください。手袋使うとホコリが付く可能性があるので要注意です。手をキレイに洗って脱脂してからの方が良いかもしれません。人差し指の爪を少し残しておくと格段にフィルム詰めるのが楽になります。
ホルダーの両サイドにある溝に滑り込ませます。この時、引き蓋の溝に入れないように注意します。
フィルムを詰めたら横からパーマセルで止めておくと安心です。下から止めるとテープを外す時、引き蓋も開けてしまう可能性があるので横から止めるのがよいです。
3.撮影
撮影するアングルが決まったら、適宜シフトしたりライズしたりスイングしたりティルトしたりします。ニュートラルでももちろん問題ありません。ここではアオリについては説明を省きます。その後ルーペでピントを合わせます。
アオリについて下記のページで解説しました。
写真の果てへの旅。アオリとカメラムーブメント
ピントをあわせ終わったら、シャッターを締めて絞り、シャッタースピードを適切な値にしシャッターをチャージします。レンズのBはレリーズを押している間シャッターが開きTは一度目のレリーズでシャッターが開き、二回目のレリーズでシャッターが閉まるを意味しています。絞りは1/3ステップで刻まれていますが、人によっては1/6ステップでいう場合が有ります。22.1/6や16.5/6や16半(1/2)、など1/6ステップはポジの撮影では使うことが多いです。16.5/6を22マイナスや22.1/6を22プラスと言う人もいますのでアシスタントしている人は気をつけてください。間違えると舌打ちされます。(うちはしません)レンズシャッターなので、フォーカルプレーンシャッターと違いストロボに全速同調するのも特徴です。
ホルダーを入れて引き蓋を抜き撮影します。撮影終了後は引き蓋を黒から白に反転させてから引き蓋を戻します。これで撮影終了です。
4.現像だし
フィルムの現像だしなのですが、フォルダーでそのまま現像所に預ける場合とホルダーからフィルムを抜いてから現像所に預ける場合が有ります。よほど急ぎでなければホルダーからフィルムを抜いて現像に出しています。ホルダーごと出すと現像を受け取るまでホルダーが使えないので、フィルムを抜いて現像に出すことが多いです。
これからの作業は必ず暗室で行ってください。ダークバック、もしくは暗室の中でフィルムを出して空のフィルムの箱に撮影済みのフィルムを表(乳剤面を上)を上にして取り出します。番記(現像済みフィルムのショーレックスにフォルダーの番号を書いてもらう)をする場合は重ねる順番もフィルムを抜く前に考えてから暗室に入ってください。
フィルムの箱にはこのようにメモを書いておきます。意味は「ネガフィルムをノーマル現像、番記お願いします。乳剤面を上にして上から下記の番号で並んでいますのでこのように番記してください。」ということが現像所の人に伝わります。すべて現像しないで1番だけテスト現像したい場合は1番テスト、その他保留でと伝えれば一枚だけ現像結果みてその他の現像指示を変えることが出来ます。ブローニーなどでも可能です。1コマ切り現、といえば最初の一コマだけ現像してくれます。
初めまして。知らなかったことがたくさん載っており勉強になりました。ありがとうございます。