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Hayato Wakabayashi Photography 若林勇人

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写真の果てへの旅。アオリとカメラムーブメント

写真の果てへの旅。アオリとカメラムーブメント

2019年7月8日

この記事は普段知ることはない、写真の果てにあるアオリとカメラムーブメントについてです。デジタル技術が発達した現在でも写真は光学的なテクノロジーの上で成り立っているという一つの例です。光を曲げたり、歪めたりと、ロマンしかない話です。撮影時に聞かれることも多いので下記で説明します。

風景や建築などの空間系やモノを撮る上で非常によく使う操作ですので、知っていれば撮影の選択肢は増えると思いますし、デジタルで画像処理をする際もどのように形が変形するかわかるので役立つと思います。なるべく簡単に書いたので読めば使えるかどうかは別にして理解はできると思います。

自分でできる。作家のための美術館、ギャラリーでの展示風景撮影。インスタレーションビューについて。

これの続編でもあります。作家が自分で展覧会場を撮影するときにも役立つと思うので、がんばって挑戦してみてください。

アオリとは何か

前板がピントのコントロール。後板が形のコントロール。アオリの機能をまとめるとたったこれだけです。

通常のカメラはレンズとセンサー(フィルム)が並行でかつセンサーの中心にあります。(とりあえずこの状態をここではスタンダードと以下書きます。)しかし大判カメラやシフトレンズはこのレンズとセンサーの位置や角度の組み合わせを任意の位置と角度にすることが出来ます。これをアオリといいます。動詞はアオるです。

アオリを使うことによってアングルが自由になったり、ものを歪めずに撮影できたり、広範囲にピントを合わせたり、またはピントの合う範囲を狭くしたりします。もちろんあえてアオリを使わないという選択肢もあります。

いろいろな種類がありますがシフトレンズとはこのようなものです。ダイヤルでレンズがずれたり傾いたりするようにできています

実際のアオリ例サンプル

実際の撮影ではアオリが前提であるわけでは無く、ベストなアングルがそこでしか無く、絵作りの際にアオルかそのままスタンダードかという判断をする事になります。意外と3次元の空間のなかでもベストと思えるアングルは少ないものです。
カメラとレンズをスタンダードのまま、歪ませたくないからという理由で歪まない(変形しない)範囲でアングルが拘束されるのは本末転倒です。ベストなアングルを探し、そこで歪みや変形が気になるようならアオリを使って補正するというのが実際の運用です。

下記の写真はどれもそれぞれ同じアングルから撮影していますが、アオリを使った場合と通常のスタンダードな場合を同じ範囲を撮影したものです。分かりやすいように極端にアオリを使っています。相変わらず作例は事務所の屋上です。ピントのコントロールの作例は撮影し忘れましたので、形の変形の作例になります。わかりやすいように少し極端な変形になるようなアングルで撮影してあります。

スタンダード

ライズ

スタンダード

シフト

スタンダード

シフト

スタンダード

フォール

実際のアオリとソフトウェアでの補正メリットとデメリット

後板のアオリである形の変形は後からフォトショップなどでも可能ですが、完全に同じではありません。前板のピントのコントロールは後処理では不可能です。「俺達は画像作っていいるんじゃない、写真を撮っているんだ」理論から言えばアオリを使った撮影が推奨です。後処理に時間を使いたくないというのも現実的な理由です。

アオリのデメリット

レンズが高価。
マニュアルフォーカス
単焦点
使いこなすのに少し経験が必要

アオリのメリット

撮影時にアングルが確定できる。
形と遠近感が変わらない
後処理の必要が無い

ソフトウェアでの補正デメリット

遠近感が変わる
処理に時間がかかる
撮影時にアングルが決定できない
ピントの移動ができない
画面が一回り小さくなる

ソフトウェアでの補正のメリット

高価なレンズが必要ない
機材が少なくて済む

カメラでのアオリとソフトウェアでの補正の違い

 

撮影時にアオリを使って撮影。

撮影時にアオリを使わずに撮影。

ソフトウェアでの補正。写真を変形させるので、空白ができてしまう。写真が小さくなりなくなったところを埋めるか、切り取るかしなければならない。水平方向の遠近感も狂い、実際より細くなってしまう

同じ比率で切り取った写真

このように補正前の写真に比べて使える範囲が小さくなってしまうので、より短いレンズを使うなどして余裕を持ってトリミングを前提で撮影しなければいけません。これが撮影時にアングルが決定できないという理由です。

カメラムーブメント

カメラムーブメントにはいくつかの種類があります。これらのうちスイングとティルトがあればすべての動きは可能です。しかし実際の撮影ではライズ、フォール、シフトを使わないと動きが煩雑になり効率的ではありません。
すべてのカメラで前板と後板が自由に動かせるわけではありません。シフトレンズは前板だけが動いていのと同じことです。カメラ本体を後板と考えることができます。

カメラムーブメントは4つの動きから成り立ちます。

  1. ティルト
  2. スイング
  3. シフト
  4. ライズ・フォール

ここではわかりやすいように4×5のビューカメラを例に解説します。こんなカメラです。

分かりづらいので蛇腹を外します。このように前と後ろで独立して動く板で構成され、その間を蛇腹でつないでいるだけの構造です。

ティルト

前後方向の傾きです。
前板の傾きはピントのコントロールです。

後板の傾きは上下方向の形の変形です。

スイング

左右方向の傾きです。
これもティルト同様に前板はピントのコントロールです。

後ろの傾きは左右方向の形の変形です。

シフト

左右方向の平行の動きです。写真はカメラを真上から見た状態です。前板と後板のスイングを同時に行ったものと同じです。蛇腹つけました。

ライズ・フォール

上下方向の垂直の動きです。前板が上で後板が下の場合をライズ。またはその逆をフォールということがあります。前板と後板のティルトを同時に行ったものと同じです。

 

ピントのコントロール(シャインプルーフの原理)

前板はピントをコントロールしていると上では書きましたが、ある法則性を持っています。(これをシャインプルーフの原理といいますが覚える必要はありません。計算式でアオリ量を計算できますが、実際の撮影ではフィーリングで行います。)
スタンダードの被写界深度(ピントの合う範囲)は下記のようにレンズからの距離によって下記のようになります。

ティルトを使うとピントが合う範囲が楔形になります。

前板、後板、ピント面の延長線上が一点で交わればピントが合うという原理です。前板を逆方向に動かしてあえてピントを外すとミニチュア写真のようになります。Olivo Barbieriや本城直樹などはこの技法で有名です。

実際の撮影時のアオリ操作

わかりやすいので基本的なティルトを使ったカメラの動きを書きますが、実際の撮影ではライズ、フォールとシフトを使います。まず撮影したいアングルでカメラを構えます。

次に後板で形を変形させます。

そのあと前板を動かしてピントを垂直面に合うようにします。

基本的なアオリの使い方はこのような動きになります。ここでカメラの最終的な形を見てみるとライズしたものと同じになるので実際はいきなりライズするのが一般的です。

4×5や大判カメラを使い始めの人や写真を学んでいる学生などは、ライズ、フォールとシフトを使わない方が仕組みがよく分かるので練習にはよいかと思います。

 

まとめ

説明不足のところもあるかもしれませんが大方のカメラムーブメントはこれで理解出来ると思います。4×5のカメラを使って説明しましたが、35ミリのカメラでシフトレンズ使うときも仕組みは同じです。
そんなに難しい仕組みではないので、実際に撮影してみるとよく分かると思います。

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Filed Under: blog, 撮影

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