敦賀湾から水晶浜に向かって山道を降りていく。海水浴場の近くを車で走ると、日焼けして真っ黒な高校生のように思えるバイトが「マジ真剣です!」とかいたパネルを持って駐車場の呼びこみをしていた。白い砂浜が数キロ続き、相模湾などに比べて日本海側の海水はとても透明度が高い。砂浜にも大勢の人が押しかけ海岸にはパラソルやテント、ビーチバレーのネットが所狭しと並んでいた。近くのコンビニでハロハロを食べていると壁に今年の「学校居酒屋」という地域に在住の若者対象のイベントのチラシが貼ってあった。
海辺の撮影をしていると時折風光明媚な海岸線にいかにも未来的な造形の原発が現れることがある。解剖台の上のミシンとコウモリ傘の出会いのようにシュールな光景が現れる。人口が少なく冷却に有利な海辺に面したところに作られている原発が建設されるところは自然の密度が高く美しいところが多い。原発事故以降目の敵にされている原発も建設された45年前には未来の輝かしいテクノロジーで生活をより良くするに違いないと思われていただろう。長い年月のなかでその地域の社会に組み込まれ、そこで生活をする人もいることを考えると問題はとても複雑に思えるし、どうしても”still crazy”と言い切る気持ちにはなれない。
ロン・ミュエクがテクノロジーの進歩とその負の側面を作品で提示しているように、今現在輝かしいテクノロジーと思われているのものの中にも社会や人類の存在そのものを危機に追い込むものが紛れているかもしれない。
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