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Hayato Wakabayashi Photography

Hayato Wakabayashi Photography 若林勇人

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kodak カラービューイングフィルター

初めての色調補正とその仕組み。ヒストグラム、トーンカーブ、レベル補正を添えて

2017年8月7日

はじめに

以前ある図録で少し色味を先方で変更され、全体的にカラーバランスを崩してしまったことがあったので写真の色について基本的な仕組みとその手順を。色校がないと気付かないまま刷り上がってしまいますので、不具合がある場合は是非ご一報ください。(トーンカーブで真ん中をプィと持ち上げるとか、レベル補正のガンマ値をドーンとかホントやめてください。)

カラーマネジメントについて

まず、色調補正と写真の共有においての前提はカラーマネジメントです。ポジフィルムを取り扱っていたときはフィルムという物質があったのでライトボックスさえ標準のものを使えば色や明るさの共有できました。現在は異なるデジタル環境でも同じ色に見えるようにする基準を管理することをカラーマネジメントといいます。(自分一人で撮影から、プリントまで完結するならばカラーマネジメント関係ありません。プリントが満足できるものであれば問題はないからです。)カラーマネジメントにはキャリブレーションがとれるモニターやセンサーが必要になります。(印刷前提であれば5000k,80cd/㎡ガンマ2.2に調整。)目視でなんとなくモニターをあわせる方法もありますが、人間の目ほど信用のならないものはないです。と言うか肉眼は高性能過ぎて勝手に補正してしまいます。肉眼でモニターをあわせると言うのはほぼ不可能です。

また、モニターの性能によっても見えている色の範囲は違います。mac book proのモニターとキャリブレーションがとれるEIZOのモニターのプロファイル比較が下記です。(プロファイルを重ね合わせて3Dで表示したものです。2つの画像は同じものを視点を変えて表示しています。)グレーの大きな方がEIZOで色がついているのがmac book proのモニターのプロファイルです。青、緑方向の広がりがかなり差があります。なんか色が変だと思ったときはモニターが狂っているかもしくはadobeRGBなどの大きな色域を表示出来ていない可能性もあります。

モニタープロファイルモニターのプロファイル比較1 モニタープロファイルモニターのプロファイル比較2

それでも自分で撮影した写真など少しでもなんとかしたい場合に色とはどのような仕組みで変化するのか。写真の明るさや色のカブりなどを客観的に見る方法を説明します。具体的な調整の方法までは今回は省略します。基本的に依頼して撮影した写真は自分で色調補正などすることなく写真の気に入らない点や、要望などは伝えて撮影者に補正や変更を依頼したほうがよいと思います。

Photoshop1を例に解説しますが、その他のソフトも考え方は同じです。それではカラーマネジメントされていないモニターで何を基準に調整すればよいかといえばヒストグラムを見てやるほかありません。ヒストグラムはデジタル写真の基本です。この先どんどんつまらなくなりますのでご注意を。

ヒストグラムとはなにか?

ヒストグラムは8ビットであれば横軸に0から255の明るさの数値をとり、写真全体のどの明るさにどれくらいのピクセルがあるかを表したものです。(正確には表示モード(RGB、輝度、Lab、チャンネルごとの表示など)に違いはありますが、大雑把な理解としては間違ってないです。)
補足、デジタルカメラ本体に表示されるヒストグラムはRAWで撮影していても埋め込みのJPGのヒストグラムが表示されています。

ヒストグラムを見ることでモニターのキャリブレーションがとれていなくてもなんとなく写真のデータの階調の破綻や色かぶりなどヒストグラムから読み取ることができます。ヒストグラムには理想的な形があるわけではありませんのでこのような形にすればよいという決まったものがあるわけではないです。下記に分かりやすいよう風景の写真で幾つか例をあげます。

コントラストの高い写真は白から黒まで全体的にまんべんなく分布している。

 

コントラストの低い写真は狭い範囲で分布している。黒と白がないことがヒストグラムから読み取れる。
このようにヒストグラム全体にまんべんなく山があれば良いというものでもありません。下記のようなエクストリームなヒストグラムもありえます。

 



ほとんど画面が黒の写真。

 


対象的にほとんど画面が白の写真。

下の写真はヒストグラムが右端に接してしまっています。ハイライト側の雲の階調がなくなっています。一概に白飛びや、黒つぶれが悪いわけではないのですが、色調補正を前提にした場合補正できる幅が極端に狭いので扱いづらいです。

撮影段階ではこのような写真にならないように撮影しておくとその後、色調補正でなめらかなグラデーションを維持したまま補正することが出来ます。階調幅をどこまで記録できるかはカメラの性能によるところも大きいです。新しいカメラに色めき立つのはこのことからです。新しいカメラの方が階調幅が広いものがほとんどです。シャドーの階調のなさやハイライト側がクリップしてしまうのはカメラが原因の場合もあります。このようにデジタルカメラの深い深い沼にハマっていきます。

補足 ETTR(Exposing to the right )とは

Rawでの撮影において露出はETTRとという方法で決定します。なるべくヒストグラムのハイライトが飛ばないギリギリで右側に寄せるということです。これはシャドー部のノイズをなるべく出ないようにしカメラのダイナミックレンジをギリギリまで使うためです。JPGでETTRで撮影すると写真が明るすぎ場合があります。カメラのダイナミックレンジが狭いのはカメラのせいではなく露出に問題があるかもしれないので、高価なカメラに買い換える前にいちど試して見る価値はあるかもしれません。
カメラ背面で表示するヒストグラムはRAWに埋め込まれたJPGのヒストグラムです。これは実際のRAWのデータよりもダイナミックレンジが小さいのでハイライト飛びが、少ない露出で表示されます。つまりRAWは露出アンダーになります。技術的に難しいのかわからないですがカメラでRAWのヒストグラムを表示できないです。
uniWBというカスタムホワイトバランスでRAWヒストグラムをシュミレートする方法もありますが、見た目が緑一色になるのでなかなか実用的とは言いづらいです。露出を変えた写真から撮影後にETTRの露出を選ぶのが簡単な解決策かもしれません。
RAWのヒストグラムを直接読む方法はRawDiggerなどを使えば見ることができます。テスト撮影をしてどれくらいからハイライトが飛んだ表示(背面画面のハイライトがピカピカ光る)になるか確認しておけばETTRでの露出がやりやすくなります。

色の相互関係

色は相互に影響を及ぼしあいます。下記の図はその関係を表したものです。互いに線の反対側にある色はどちらかが増えるとどちらかが減ることを表しています。そしてどの色も隣接する2色から出来ます。

色の相互関係 R=M+Y G=C+Y B=C+M C=G+B M=R+B Y=R+G

例えばイエローの色のカブりを補正したい場合はブルーを増やせばイエローが少なくなります。もしくはマゼンタとシアンをあわせて増やすのも同じ効果がありますが、まずは単色で補正して補正しきれない場合は他の組み合わせも考えれば良いです。このようにどちらかを増やせばどちらかが減るという関係が成り立ちます。補足、ネガからカラープリントの場合は通常イエローとマゼンタのフィルターのみで行います。原理的には2色ですべての色の補正が可能だからです。補正量を大きく超える場合に限ってシアンのフィルターを使うことが有ります。

色調補正の手順と考え方

おおまかな色調補正の流れは以下の通りです。個別のツールについてはアドビのヘルプなどを参照してください。

1.まずはじめに写真の明るさを決定します。

ここでは大雑把で構いません。最終的にもう一度明るさは調整します。そのため調整レイヤーを使います。明るさをコントロールする調整レイヤーには下記のものがあります。
「トーンカーブ」カーブを自由に選択できる。すばらしい。
「明るさ・コントラスト」ハイライト側が持ち上がった、コントラストの高いカーブで明るくする。ハイライトとシャドウは固定。
「露光量」これを使うことはほぼないとおもいます。ハイライト、シャドウを容赦なく切り捨てます。
「レベル補正」ガンマカーブで明るくなったり、暗くなったり。ハイライトとシャドウは固定。
この中ですと「トーンカーブ」が万能ですが、とりあえずつかいやすいツールで構いません。「トーンカーブ」の「とりあえずS字」とか明るくするのに「まんなかプィとあげる」とかは忘れてください。使い方間違ってます。

2.次に色の補正をします。

上記したとおりの仕組みで色は動きますので、これも先ほどとは別の調整レイヤーをつくり調整します。調整に使うツールは「トーンカーブ」か「レベル補正」がよいとおもいます。やはりここでも「トーンカーブ」が素敵です。

3.全体のコントラストを整える。

ここでまた新たに調整レイヤーをつくり全体のコントラストを調整します。もうここでは「トーンカーブ」一択です。

4.最後にもう一度最初の明るさを調整したレイヤーに戻り最終的に明るさを決定します。

このように調整ごとにレイヤーを分けておくと補正しやすくなると思います。このほか「チャンネルミキサー」や「特定色域の選択」など有効なツールはあるのですが、それらを使わなくても大抵のことは可能です。

色調補正の例



ホワイトバランスを太陽光で露出をオートで撮影するとホワイトキューブではこのような感じの写真になることがあると思います。この画像のヒストグラムを見てみます。


ここ。Bがハイライト側にないのでYにハイライトがなってる。

ヒストグラムの「チャンネル」を「カラー」に変えるとRGBのそれぞれのチャンネルが重ね合わされた表示に変わります。本来であれば壁の色は白ですので、RGBのそれぞれが重なっていれば白になるはずですが、ハイライト側の青が随分と左に寄っています。それと画像全体も暗く、若干コントラストが足りないのもヒストグラムから読み取れます。ハイライト側にRとGが多くあるのでイエローになってしまっています。
この画像を上記の方法でトーンカーブのレイヤーを2枚で調整したものが下記になります。


補正後のヒストグラム。8ビット画像を補正しているので若干トーンが破綻してます。


明るさとコントラストの調整レイヤー(トーンカーブ)


色補正用の調整レイヤー(トーンカーブ)

このように「S字に」とか「真ん中プィ」とはなりません。(たまたまなることはあります。それは結果そうなったというだけでS字とかが前提で調整しているわけではありません)8ビットのデータを調整したので、ヒストグラムがくし状になってしまっていますが、とりあえずこれぐらいにはなります。ここでは標準的な色とコントラスに調整しましたが、これらを駆使してエモいフィルムライクな仕上げなどもできます。

 

1 Photoshopを使うのであればなるべく最新のCCがよいです。Adobe Camera RawやCamera Rawフィルター、広角レンズのボリューム歪像の補正など写真の補正でとても使える機能があるので、サブスクリプションということ受け入れられればCCにすべきです。CCにしないとCamera Rawがアップデートできないので古いカメラ使い続けるには問題ありませんが、新しいカメラのRawに対応しないのでいずれCCにすることになると思います。↩

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Filed Under: blog, 撮影

Reader Interactions

コメント

  1. 竹下アキコ says

    2018年4月24日 at 5:36 AM

    初めまして、突然のメールですみません。
    カメラマンをやっているものですが、ずっとカラーマネジメントについて悩んでいて、もしご存知でしたら教えて頂けたらなと思い連絡させて頂きました。

    印刷の場合、
    大日本印刷の設定
    モニター EIZO ColorEdge 輝度80 ガンマ2.2 色温5000k
    なんですが、黒レベルは最小値で大丈夫なのかという事と、
    webの場合の設定です。

    色温の設定はかなり低いだろうと思いつつ、分からないのでモニターのカラーマネジメントは印刷の設定そのままでPhotoshopの表示→校正設定→インターネット標準で確認するという具合です。。。

    不躾に細かく聞いて失礼だと思いましたが、、、
    宜しくお願い致します。

  2. wkbyshhyt says

    2018年4月24日 at 1:21 PM

    印刷用の設定はそれで問題ありません。慣れるまで普通のモニターより暗くてアンバーぽい色に見えるかもしれません。
    調整方法はグレーバランス重視、複数モニターマッチングで良いと思います。
    photoshopの校正はモニターのキャリブレーションとは関係有りません。画像のカラープロファイルの校正表示です。
    インターネット標準はsRGBで表示しているだけです。

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